メタファーの境界

30代になった女の日記です。日常の肥溜めの上澄みみたいな感じ。

Tinderと恋愛と外見、自立と依存の話

ここ最近Tinderという出会い系のアプリを使って人に会いました。

説明しなくても有名かな。これです。

 

Tinder

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簡単にどんなものか書くと、登録している人たちの写真がご近所にいる人からカードみたいに出てきて、右にスワイプでライク、左にスワイプでノウプ、といった感じで選別していき、お互いにライクになったら「マッチしました!」って表示が出てチャットが出来るようになる、というシステム。facebookと連動していて、以前はfecebookに載っけてる画像しか載せられなかったり(これ書いてる今はTinderからのみのアップもできる)、お互いにライクしない限りコンタクトが取れない点がすっきりしていてよかった。

 


このアプリを落としたのは2年ちょっと前。きっかけはUIデザインが秀逸なアプリをまとめた記事で紹介されていたから。何となく落としてよくわからなかった時に右にスワイプさせてしまい、たまたまチャットしたフランスの方と仲良くなったり、その方がこの前結婚したことをfacebookが教えてくれたりして(Tinderのチャット後にFacebookでつながったため)、随分使ってなかったけど、また興味が出てきて使うようになった。

 


2年前はなかったのだけど、いつの間にか「スーパーライク」という機能が出来てて、マッチしなくてもこれを使えば一方的に「この人があなたのことをスーパーライクしました!」って通知が来る。たまにスーパーライクを飛ばしてくれる人がいるので、その人たちにライクを飛ばして、チャットする、ってことを何回かやった。何往復かTinderでチャットしたら大体「LINEしませんか」って訊かれて、そっちに移行するのがお決まりのパターン。

 

 


(・ω・)

 

 


先日、Tinderを始めて以来初めて「会いませんか」という提案をもらった。飲みに行きましょうでもお茶でもなく、山奥コースのドライブを提案されて、「分かりやすいなー(・ω・)」と思いながらも相手の仕事の話は興味深かったし、「いいですよ」と返して会ってきた。

 

 

相手が仕事終わりに駅前に車で拾いに来てくれて、挨拶して30分でキスされた。ずっと車中で相手がセックスの話ばかりしていて、山奥の落ち着いたところで降りて川眺めてハグしてキスして手をつないで、大体30分。関係をつくるまでの工程がこんなに効率的にこなせるものなのだな、こういった恋愛マニュアルでもあるのだろうか、と思った。流れるように雰囲気を構築していく様が清々しかった。

 


別れる時にもう一度キスされて名残惜しそうにされたけど、駅前でバイバイしてきた。別れ際にとても切ない表情を見せられてしまって、やれなくて期待はずれだっただろうな、時間を割かせてしまって申し訳なかったな、とちょっと罪悪感が残った。「全然ドキドキしてないやろ」と言い当てられたり相手のこともよく分かってて、すごく手練れた人だった。と思う。

 

 

というのは私は26歳にしてそういう経験がゼロという、もうすぐ魔法が使えそうな女で、そういう恋愛の云々がよく分からないから(上に書いたのはファーストキスだった、笑)。学生の頃は好きな人ができたりしたけど、社会人になってからまともに人を好きになることがなくて、相手に好きになってもらっても私は好きになれなくて断ったりしていた。

 


相手はセフレとか、ワンナイトの関係が欲しかったのだろうけど、この山奥ドライブの人がきっかけで自分の恋愛に対する見方をちょっと見直した。
コミュニケーションの大きな部分を欠いでこの年齢まで来てしまったのかな、経験積まないといけないな、という意識が生まれたというか…。
うまく言えないけど、なんというか、20代後半にもなって就業経験がないみたいな気分になった。いや20代後半でニートでもいいと思うんだけど、というかちょっと前まで自分ニートだったし。
とにかく人として大事なものを落としてきてしまった気分になった。

 

 


(・ω・)

 

 


Tinderをしていていつも気になるのは「写真ください」って言われること。
と言ってもプロフィール画像に顔を分かりづらく加工した白黒写真一枚しか載せてないので(このブログのプロフィール画像みたいなやつね)、欲しくなる理由はよくわかる。それでもスーパーライクしてくる人がいるのは、そのデザイン加工からお洒落な感じを相手が想像するかららしい。みんなメディアのイメージに漬け込まれてるよ、例えばかわいい系のビジュアルで売ってるアイドルの画像を作ってるのは周りのおじさんで、本人がつくってるわけではないよ、どちらかというと私はおじさんの方だよとか思いつつ、Facebookプロフィール画像だから意図はなかったけど、結果的に顔が好みだからライクするって人は跳ねることができた。

 

 

顔じゃない部分でライクをもらってもチャットしてると流れで「写真ください」って毎回言われるので、「やはり見た目が知りたいのだなー(・ω・)」と思いつつ、最初の頃はその会話になったところでブッチしてしまっていた。お互い趣味の話や仕事の話をして、楽しいのに、どうして顔がいるんだろう…(・ω・)と虚しくなってしまっていた。言ってこなかった人が二人いたけど、一人は糖質制限してダイエットに励んでる人で、自分の見た目に自信がないらしかった。

 

 


外見の話を少しすると、私は自分の見た目がコンプレックスでは特にないけど、世間的に見て可愛い人間じゃないことは自覚がある。私は母親と顔が全然似てないのだけど、母親は可愛らしい人で、親子で並んでるとたまに比較してくる人がいる。店員さんに、「あの方がお母さん?かわいい!全然似てないですね!」とか(笑)、ナチュラルに傷付くことを言われたこともある。私も母親も自分達が似てないことはよく分かってたし、特に母親も私に対してそのことで気にするなとかも言わなかった。それを言ったら自分に似てないことが悪いことだと認めてしまうからだと思う。


メイクの有無含む外見に関して言うと、前の職場にいるとき、アトピーが本当にひどくてノンメイクで仕事していた時期がある。すると私を見てあからさまに「まじかよ」って顔に出るお客さん、結構いた。そんなもんだろうなとは思う。

 

顔が薄いのでメイクをすると化け物のように顔が変わるのだけど、この頃アトピーがやっとましになって、パーマかけてフルメイクとコンタクトレンズの着用を復活させた。そしたら職場で運送屋のお兄さんに「雰囲気変わりましたね」ってニコニコしながら言われた。普段は無愛想な感じの人なので一瞬誰か分からなかった。でもこれもそんなもんなんだろうなと思う。嬉しいけど、ちょっぴりげんなりもする。ほんとはアトピーじゃなくてもノンメイクでいいと思うし、黒髪眼鏡も金髪巻き髪も両方やったしこれからもそうでありたいとも思う。他人の評価に自分の気分を巻き込まれないようにすればいいだけなのだけど、それはむつかしいことだなとも思う。

”趣味の話や仕事の話”と同列で外見の話ができないのはやはり外見がコンプレックスだからだろうか。
話題のコンテンツとして別格に感じてしまう。なんでだろうね。

 

 


(・ω・)

 

 


制作会社にいる頃は22時以降もよく会社にいたのだけど、時間が遅くなってくると上司からの電話で「今彼氏いるの?」「好きな人は?」みたいな会話が増えてくる(まあセクハラになるんだろうけど…)。その経験があったので男性は疲れてくるとエロくなってくるイメージがあった。今見たデータにその場で指示を出して、バリバリ仕事を捌いていく上司を知っているので、そうじゃない側面を見ても嫌な感情はなかった。山奥ドライブの人も沢山仕事をこなしてきた後なのだろうなと思った。疲れてたのにエッチできなくて申し訳ない、びびってしまった。

 


別れ際の顔が心に引っかかって、バイバイした後にもう一度LINEを送ったら、その時は反応が良かったけど返ってこなくなりました。Tinderのアカウント自体が消えていたのできっといい人が見つかったんだろうなと思う。想像していたよりも真面目だった。ああいう人が沢山いて、世の中を支えてくれているのだな、私みたいな社会に適応してなくて生産性が低い人間はそういった人たちにのっかって生きている面がいっぱいあるのだろうな、と思う。

 

 

山奥ドライブの人のことがあって、ふと「どうして魔法が使えそうなくらい恋愛に興味がなくなっているんだろうな」と思い始めた。

 

そしたら、もしかしたら私は生きていくにあたり「このままでは死んでしまうのではないか」というおそれが心の底にずっとあって、その欲求が満たせていないから恋愛まで手が届かないのかなと行き当たった。

 

実際は一人暮らしをして、今はアルバイトしてお金を稼いで自分を賄うことができているけど、マズローのピラミッドでいうところの下から二番目あたりが気持ちの面では満たせていないのではないのか。別にしなくても方法はあるのに、大学への進学とか、正社員になるために就職活動を頑張ったのもそこにずっと起因しているのではないだろうか。死なないためにお金を稼げるようになりたいけど、上手いこといかなくてボトムが安定しないからずっと不安定で、上の欲求まで手が回らなくて優先欲求がずっと低い位置にあるのではないか、恋愛は私の中でお金と直結していないから捗らないのだろうか…(・ω・)

 

「死なない」って安心感ってどこで得られるのだろう。私は実家を当てにしていないし、親子関係のことも関わりがあるんだろうな。心の拠り所のようなものが自分の根にないと恋愛まで気が回らないのだろうか。

 

 


(・ω・)

 

 


最近ネットで見たもので「自立」と「依存」ってのがある。
この二つは反対であるようでそうでもないらしい。自立は依存によって成り立つ。
障害者教育の現場ではよく言われるようで、そういえば教職の実習で支援学校に行った時も「障害者にとっての自立とは何か」というテーマを実習最後のレポート課題に出された。

 


私が当たったクラスは重度障害のクラスで、みんな車椅子で食事も介助がないと摂れないし、言葉で意思の疎通をすることも出来なかった。正直彼らに対して最初は宇宙人みたいな感覚を持っていたけど、接しているとそうでもなくて、食べたくなさそうな給食のおかずがあることや、プレイルームでゴムボールに埋もれると驚いていることがわかったりした。当たり前だけど、意思疎通しづらいだけで意思はあるのだなと思った。

 


そんな彼らにとっての自立とはなにか。それまで自立って自力でご飯食べて掃除したり生活のあれこれを一人でこなして生計を立てていくとこだと思っていたけど、彼らはそれが出来ない。でも自立はあるって言われたら誰かに助けてもらうしかない。

 


実習当時は自立=依存であるってところには辿り着けなかった。自立することが障害者支援の目標であるからそういうテーマを設けてくるのかなと思ったので、私の人生のアバウトな目標の「豊かになること」を重ね合わせて、自立することは豊かになること、豊かになることは自立するということなのではないかって仮説を立てて、彼らにとっての豊かさとはなんなのかって視点で確かレポートは書いた。「機会があれば私の染織作品を観てほしい」っていう、彼らにアートの体験を提供するって内容だったと思う。


このときは依存という言葉を意識しなかったけど、アートの提供をするってのも他者によって豊かになる、自立するということなのだな。私も山奥ドライブの人や実習で相手をしてくれた彼らに刺激をもらったから、こうやって文章を書いて物事の考えを広げて豊かになろうと試みている。私も他人に依存して自立をはかろうとしているのだな…(・ω・)

 

 

豊かさの結果、上に書いた「死なない」も生まれるのだと思う。際限がないから、IQがいくつ以下とか身体機能の制限があるとかで具体的な他者の支援を受けられるかどうかは線引きをして領域をつくっているけど、本来はその境界は曖昧なものだ。依存しないと欲求が満たせない点で実習で会った彼らも私も一緒なのだな。

 


恋愛したら相手がいるから拠り所が増えるってことになる。生存もしやすくなるってことになる。
というか恋愛なんてジャンルで分けなくても、単純に人とつながった方が生きていきやすいよってことになるんだけど…(・ω・)

 

でもこのこと、進学や就職で日銭を稼ぐようになる以外にも生存する方法があることをこんなに噛み砕いて理解しても「じゃあ人と積極的につながろう!」って気持ちがそんなにアクティブにならないんだよな。どうしたもんだろうか。生命力の差かな。笑

 

 


(・ω・)

 

 


山奥ドライブの人のことがあって一ヶ月経った頃、またスーパーライクが飛んできた。その人とはLINEで仕事の話で盛り上がって、しばらく話してても「写真ください」って言ってこなかった。

 

私とはコミュニティの差異があるせいか、会話してると相手が知らない言葉が出てくるようで、話してて面白いらしい。逆も然りで興味がわいて、私から会いませんかって誘った。山奥ドライブの人とは違ってワンナイトの関係を求めてるような人ではなかった。


でも山奥ドライブの人のスピード感覚が残っていたので、私はそういうのを求めてくるだろうと予想していたのと、仕事の後に来てくれたので積極的に自分からそういう話をした。「どうしてそんなこと訊くの?」と相手には困惑された。


会って1日目でふざけて「付き合う?」って聞いたら「いや段階があるでしょ」って即答は避けられた。私よりよっぽど常識がある人だった。後から一人で恥ずかしくなった。彼曰く私は変わり者らしい。

 

それから一回で終わらずまた会ったり、もっと定期的に会いませんかって話になって、スケジュール確認し合って日を決めたりしている。それがまるで仕事みたいで、細分化してタスク管理をはかるように、「人との繋がりもひとつずつこなすことで成り立つものなんだな…(・ω・)」と今まで友達同士で沢山やってたはずなのに何故か改めてそんなことを感じている。

 

 


生命力は乏しいけど、多少は人とつながることに対してアクティブになれてるだろうか。久しぶりに作品つくって展示とかしたい気分。私の感じた豊かさが、誰かに循環されたら面白いだろうな。

 

 

話題があっちこっち飛んだ(・ω・)